2025年7月、ユネスコはタジキスタン南部にある11の古代遺跡群「古代フッタル(Ancient Khuttal)」を世界文化遺産リストに正式登録しました。これは、同国にとって6件目の世界遺産となります。
登録対象となった「古代フッタル」は、現在のハトロン州南部に位置し、シルクロードの要衝として古代から中世にかけて繁栄した歴史的地域です。首都ドゥシャンベから南東に約150kmの場所にある Hulbuk(フルブク) は、かつてのフッタル王国の中心地として知られ、宮殿跡や宗教施設、要塞などの遺構が現在も残されています。
この地域は、ゾロアスター教や仏教、イスラム教といった多様な宗教文化が交差した場所でもあり、ユネスコはその「歴史的重層性と文化の融合性」を高く評価しました。
観光資源としての注目も高まっており、今後は考古学的保護と観光インフラの整備が課題となりそうです。タジキスタン政府も、観光省や文化遺産庁を中心に整備計画を進めていくとしています。
なお、今回の登録で、タジキスタンの世界遺産は「サラズム遺跡」や「パミール山脈の自然保護区」などを含め6件目。中央アジア諸国の中でも文化遺産の価値が再評価されつつあります。